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Intoxication view
2024.6.29 (土) - 7.28 (日)
オープニングレセプション:6.29 (土)17:00-19:00
この度、KAYOKOYUKIでは、松下和暉の2回目となる個展「Intoxication view」を開催いたします。
松下は、テキストあるいは詩の中にある物理的な側面に注目し、それをさらに検証するための媒体として絵画があると捉えています。彼は作品制作の中で言葉やフレーズを集め、文字を並べ替えてアナグラムを作り出します。彼のキャンバスはこれらの言葉の延長として機能し、色、形、間隔、ストロークを通して言葉の再定義が抽象的に表現されます。キャンバス上のモチーフが言葉そのものであるかのように、白いスペースは言葉の間の沈黙として響き、詩の本質を呼び起こします。この両者の間接的な対話、つまり彼の私的なノートと広大なキャンバス、あるいはタイトルとモチーフにおける親密な相互作用は、言語と視覚芸術の間に雄弁な緊張感をもたらし、作品の中でユニークに交錯します。
本展のタイトルである“Intoxication view”とは、“Installation view”を下敷きに、松下が創り出したフレーズです。彼にとって、“Intoxication”(酔い)と”Installation”に共通する興味深い点は、今、自分自身が見ている現実を、どんな光景であれ信じているということ、またそうした信念がいつから始まったのか、明確に思い出すことができないというところにあります。言葉のインパクトは知覚をコントロールし、人を酔わせ、私たちをより大きなものの支配下に置こうとします。彼のタイトルに見られる自己言及的な言葉遊びは、言葉が持つ強力で限定的な意味から自身を解放し、事実を客観的に捉え直す方法でもあります。彼はこれらの微妙なニュアンスをキャンバスに描き出すことで、わずかな誤解の可能性を探り、私たちを新鮮でユーモアのある再定義へと導きます。
Intoxication view
『Right, Left』
『Humanist Sans-Serif “Star Finishes Manus”』 humanist sans serif ⇔ star finishes manus
『The starry night (R stay right then)』 the starry night ⇔ r stay right then
『When I said that, when I shit data』 when i said that ⇔ when i shit data
『Spit is R (spirits)』 spit is r ⇔ spirits
『Spit is R (spirits)』 spit is r ⇔ spirits
『Untitled』
モチーフの登場
展示されている作品『Right, Left』は2023年の個展『The Agentur』の自分自身によるプレスリリース(*1)を素材に扱った作品です。日本語で書かれたテキストの文字を、五十音図の構図を引用して、一文字ずつ左にずらして生まれたテキストがLeftの要素、一文字ずつ右にずらしたテキストがRightの要素である。この過程でアルファベットは選択されていません。『Right, Left』では、モチーフの登場を考察するための、テキストに与えられた微妙な差異、ニュアンスをコントロールする方法を検証していた。
参照1
最も重要な教訓は、パズルはあくまで(*2)パズルだということである。―ソール・A・クリプキ『信念のパズル』1979
a. 最初にアルコールとして認識された物質は酒に含まれるエタノールである。
b. 現在の日本の酒税法ではアルコール分1%以上の飲料を酒類と定義している。
c. ALDH2不活性型(*3)にとってアルコール分0〜1%の飲料はモチーフとして成立する。
d. 大気中の気体化したアルコールはALDH2不活性型の潜在的なモチーフである。
e. R…アルコールの級数を表す。
モチーフの登場は、オブジェクトをとりまく状況の生理的・社会的機能を調整し、維持しようとするための特権的な役割を与えられている。それは、際限なく推移する信用、親密さの集合的無意識よって支えられ共有されています。
参照2
12分以内で終わらせましょう。
正直に答えましょう。(たとえ、その答えが気に入らなくても)
できるだけ「中立」の答えは避けましょう。―『16Personalities』導入部分における最も創造的な問い(2023.1.14時点)
ー松下 和暉
*1 https://echo-cologne.com/exhibitions/the-agentur/
*2 あくまで…その性質や状態が、あらゆる所に例外なく及んでいる様子。(『新明解国語辞典第八版』)
*3 アルコールの代謝産物を分解する酵素の働きが全くない遺伝子型。
松下 和暉 (まつした・かずき)
1992年東京都生まれ、在住。
主な展覧会に、個展「The Agentur」ECHO(ケルン、2023)、個展「Ice like Ice」im labor(東京、2022)、個展「X’mas」im labor(東京、2020)、グループ展 「No sleeper seats, that's a mattress」Cherry Hill (デンハー、2024)、グループ展「Tokio Hotel」Galerie Tenko Presents(ベルリン、2023)、グループ展「Obsession II」Wschód Gallery(ワルシャワ、2023)、グループ展「温泉大作戦」KAYOKOYUKI(東京、2022)、グループ展「ignore your perspective 52 思考のリアル」児玉画廊(東京、2019)、グループ展「Group Show」4649(東京、2018)。